- オリジナリティは、教育や社会に支配されない者から生まれ得る -                          






論壇設立の目的



人口減少が進む日本社会(2048年には総人口が 1億人を切ると言われています)を取り巻く諸問題― 国家財政問題、産業の空洞化やグローバル経済競争の激化―は、その深刻度を増すばかりとなり、これまで 先進国クラブにおけるアジア唯一の加盟国として、経済大国の名誉と豊かさを謳歌できた時代は終焉を迎えようとしています。

さらに、長く過酷な円高時代と2011年の東日本大震災によって日本の産業構造は大きく構造変化してしまっており、円安時代に突入しても経常赤字が常態化しています。すなわち、(製造業を中心に)日本人が汗水たらして稼いできた外貨が、エネルギーや食糧購入費として外国の懐に吸い上げられていく構図です。日本はまさに、食や資源を得るために働き続ける「勤労者の国」という役割を世界的に押しつけられていくことを意味します。

2020年の東京オリンピック以降の日本経済は、その縮小するGDPと総人口では支えきれない累々たる借金が重くのしかかり(毎年の新規発行する国債は 50兆円ずつ積み上げり、自国の貯蓄額では賄いきれなくなるタイミングこそ、東京オリンピック直後から)、いよいよ頭を下げて、海外投資家や外国政府に日本国債の購入をお願いする時代が到来します。即刻、金利上昇時代へと直結していきます。 これまでの生活水準は大きく崩れ、増税とインフレが緩やかに進み、ちょうどイタリアのような、高失業率と貧富の格差が大きな中位所得国家へと落ちていくものと予想されます。国際経済全体が好景気のときは特に問題も噴出せず平穏な経済感覚が味わえますが、 ひとたび、世界経済が変調をきたしたとき、安全性の裏付けが乏しい日本国債、日本資産は売り圧力にさらされることが 増えてくると思われます(東京オリンピックまでは、日本資産および、日本円は安全資産としての地位を保ち、世界経済のパニック時にはその力を評価されて買いが進められていくでしょうが)。

こうした10年、20年先の日本経済・社会の行く末を見通しながら、今後の日本人のあるべき姿、国際社会の中での身の処し方について、海外の日系財界人諸氏からの提言、問題提言を集めてみてみました。

日本を出て、海外で生活する日本人はいまや 100万人を超えています。この中には、研究者、企業駐在員、公務員、その家族等が含まれています。我々在外邦人は外国に住み、母国日本を客観的に評価できる環境にあって、いったい何が見え、何を感じてきたのか。 そうした声を、本「論壇」では、この中でも、特に事業家の皆様から、日本、アジア、国際社会のあり方、あり様に関するご意見、問題提起を頂戴してまいりたいと考えております。


論文・提言募集



ひとりの商売人として日本国外にて事業を起こし、 軌道に乗せ、現地パートナーと協力してビジネスを拡大される来る中で、 もはや「一商売人」をいうレベルを超えた、「一財界人」という方々が次々に誕生しつつあります。 この論壇スペースは、こうした海外在住の日系財界人の皆様から、日本へ向けた提言、問題提起、意見を投げかけて頂きたい、という 思いからスタートさせて頂きました。

一商売人であったころは、自己利益や会社利潤の追求が第一でよかったと思います。しかし、事業規模も大きくなり、現地社会や日本側のパートナーとの関係性が大きくなって来る中で、一財界人としての立場を確立された今、その立場に見合った 影響力を、周囲の人々や社会全般に波及させて行く責務が出てくるのではないでしょうか?? 企業によるCSR活動が広く認知される今日、企業の役割が単なる利益追求だけではなく、 社会の一構成員として、その影響力を自覚し、これに見合った社会貢献の必要性が 求められて久しくなります。こうした文脈は、海外で活躍され財界人としての地位を 確立された今、やはり同様な責務が求められてくるのではないか、と考えています。 商い人から財界人への脱皮、それは社会の要請でもあります。

英語 Economyの邦訳は、「経済」ですが、その語源的意味は中国語の「経世済民=世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」に あるのは有名な逸話ですが、経済を治めることこそ政治や社会を運営すること、そのものである、という内容です。 この経済世界において、一定の影響力を確立された財界人は、特に、社会や政治の運営でもそれだけの 影響力が生じることと直結しており、まさに経済成功者が社会を治める、ということに他なりません。 人間平等とはいっても、社会を安定的に運営し、秩序を保った人間空間を築き上げるには、個人の能力には 大きな差があるのです。経済世界で成功された財界人とは、すなわち、社会的成功者であり、社会管理者としての 一定の責務も当然、付随されてくる、といえましょう。

今後起こり得る、日本での大地震で、関東、中部と近畿の大部分に 大きな損害を負いかねず、それでも、日本人と日本国の残存生命と領土、誇りを永続的に継承していくべく、 海外在住の日系財界人が連帯して、日本の連続性を絶やすことなく、本国日本の万が一のバックアップ機能を担保し続けることは重要であると、 痛切に感じております。今のうちから、海外財界人どうして喧々諤々の議論を展開し、さらに、外から見る日本社会、 日本経済、アジア社会や国際経済に対する率直な意見を発表していくことが、日本の国際的地位と影響力の保持に わずかながらでも貢献し得るのではないか、と思っています。

最終的には日本の連続性バックアップ協会(日本の万が一にも、日本国財産や権益、指令系統を担保できる、バックアップ政府機能も含む)の設立を同時に唱えたいと企図しております。 そのために海外から間接的に日本を見つめる日系財界人による各種提言、知見を結集し、シンクタンク的な機能を手始めに、 「世界の中の日本」を盛り立てていきたいと切に願っています。

海外在住の日系財界人の皆様の力作、奮ってのご応募をお待ちしております。




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